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STAFF COLUMN

2013/07/19

リマスター日記6

フィルム作品のHDリマスターは考古学のようです。
フィルムをプリントして再生みるまでは何があるか分からない。
フィルムが劣化している。
不足しているカットがある。
バラバラになっていてカットが繋がっていないフィルム。
まあレイズナーも色々とありました。
そして個人的に最も深刻だったのがACT.3の刻印2000ノンクレジットエンディング問題!

レイズナーではマスターポジをプリントしてテレシネしているわけですが、原版であるネガフィルムがない事にはこのマスターポジがプリントできないわけで・・・。
無かったんですよ。
刻印2000のノンクレジット版エンディング部分のフィルムが。
VHS、LD、DVDでご覧になっている方はおわかりと思いますが、

エンディング部分はドラマパートにクレジットを光学合成している為、
本編と比べると画質が落ちてしまっています。
是非、ノンクレジットでのエンディングも観たい!
レイズナーファンなら誰もが思い続けていたことだと思います。

実はOPやEDはクレジットが載る事を計算してレイアウトされています。
その為にクレジット有りの物が完成形で、ノンクレジットというものはあくまでソフト用の特典という扱いなんですね。
(もちろん全部の作品がそうとは限りませんが。)
ですから途中成果物であるフィルムが現存していなくても不思議ではないのです。
こんな事は昔のフィルム作品では珍しくありません。

しかし、どうしても今回のBD-BOXにノンクレジット版のエンディングを収録したい!
この熱い思いが伝わったのかフィルムを取り扱う担当も諦めずに何ヶ月も捜し続けてもらいました。

時は流れて6ヶ月。
半ば諦めていました。
見つからない物は仕方ありません。
その後もノンクレジットのオープニング素材、エンディング素材などレイズナーと思われるフィルムが入ってそうな物は片っ端から捜索し続けてもらいました。
半年ほど経過しているこの頃になるとリマスターの作業もほぼ終了しています。

残るは特典、メニュー画面などの残すばかりとなった頃の事です。
なんとノンクレジット版エンディングのフィルムが見つかったとの知らせが!
しかし問題はスケジュールです。
リマスター作業はほぼ終了しているのです。
果たして収録できるのか・・・?
間に合うのか?
どうなる~?
詳しくは商品ページをご確認下さい。

こうして担当者の我が儘に振り回されっぱなしのリマスター地獄は終わりが見えてきたのでした。

ここからは特典地獄が待っているわけですが。
ふふふふ。

2013/07/18

色紙その2  大河原邦男さん


本日は様々な方から頂いている応援色紙シリーズ第二弾!
メカニカルデザイン 大河原邦男さんから色紙をご紹介。
カッコいいレイズナーの横顔です。

2013/07/17

リマスター日記5

ゴミ消しメモ。 汚い字で恥ずかしい・・・。

ゴミ消しのお話をちょっと掘り下げる。
リマスターの実作業はポスプロで行います。
そこでリマスターのプロフェッショナルなオペレーターの方が腕を振るって奇麗奇麗してくれているわけです。
では、私たちは何をしているのか?
それは監修です。
監修っていうとちょっと偉そうですね。
えっへん。

私たちが観るのは一度リマスターが済んだ映像で、専用のモニターで鑑賞します。
といってもただ観ているわけではありません。
一瞬しか映らない異変を瞬間的に見つけ出します。
これがなかなか大変。
何せ本編が面白いからって集中しちゃうと仕事がおろそかになっちゃう!
ゲイル先輩の最後を見届けずに、画面の四隅やキャラ以外の箇所を見ていなきゃならないんですよ?
どんなお預けですかって話です。

では、簡単にチェックの内容もお話します。
アニメは1秒24枚の絵が流れます。
この1秒の間に流れる24枚の絵の中で1枚だけにゴミや違和感のある何かがあるかもしれないのです!(2枚3枚と複数枚にわたって異変がある事もありますよ。)
これをおよそ1話分(25分)続けてチェックします。
この間ずっと気が抜けません。
モニターには本編と一緒にタイムも表示させています。
気になる箇所を見つけたらこのタイムをメモしておきます。
1話分の映像を見終わったらメモしたタイムと画面を照らし合わせ確認します。
映像の確認が出来たら問題点の修正をオペレーターの方へお願いします。

メモを書いている間も本編は進んで行くため画面から目を離せません。
その為に自分の文字が解読できず、唸る事も珍しくありません(笑)。
レイズナーは4名で監修を行っています。(この人数はかなり豪華!)
その為か同じ箇所を拾ってもタイムに差があり、同じ内容でもタイムが遅いと負けた気分になり悔しい気分になったり・・・。
あ、これは私だけかもしれません。
逆に早い時はドヤ顔をします。
(特に先輩より早いタイムで拾ってると嬉しい。)

では、どんな事をチェックしているのか?
チェックしている内容をざっと上げますね。
・四隅の絵が欠けていないか?(絵が足りていない場合がある。)
・セル傷が無いか?(もの凄く大きく絵の邪魔をしているものは消す。)
・ゴミはないか(目立つホコリやシミなど、画面上の異変は消す。)
・スプライスは無いか?(先の作業での消し忘れは無いか確認。)
・セルバレしてないか?(セルの重ねが間違っている場合は修正する。)

などなど確認する事は沢山あります。
兎に角違和感があったらチェックするわけですよ。
とは言っても、私たちの監修というのはあくまでより見やすい映像にする為のバランス取りであり、大部分はオペレーターの方の作業で行われています。
実は一番大変なのはこの実作業を行っている方たちなんですね。
いつも奇麗にしてくれてありがとうございます。

作業時間についてもお話しますね。
作品ごとにも異なりますが一応目安として1日にこなす話数の目標が設定されています。
その為に1話数辺りに割ける時間というものが決まっているのですが、
どうも思い入れが強すぎると時間をオーバーに成りがちです。
いつもオーバーして怒られているわけですが・・・。
サイバーフォーミュラでだいぶやりすぎた私ですが、今回も記録を更新してしまったかもしれません。
先輩にもよく注意されているんですけど・・・。
「ここはOVAで使うから奇麗にしておきたいんです。」は大変便利な言葉でした。

作業を行うかどうか(費用対効果を考えて)、先輩ともめているうちに呆れたオペレーターの方がさっさと修正してくれるという展開には正直申し訳なかったと反省してます。

えっと何が言いたいかって言うと、ポスプロさん無茶いって作業してもらってすみませんでした。
と何故かここで懺悔する。
おかげさまで私、かなりご満悦です。

写真はチェック時のメモです。
汚い字ですが雰囲気が伝わればと思いきって掲載します。
リマスターに興味を持った方はネットで色々検索してみて下さいね。

2013/07/16

リマスター日記4

色味調整の次は映像を奇麗にする作業に入ります。
いわゆるゴミ消しってやつですね。
本当か嘘かレイズナーは1話辺り6000~7000枚と聞いた事があります。
一枚一枚の画像をチェックして修正を行うのでこれまた気の遠くなる作業です。

セルアニメはセル画をカメラで一枚一枚撮影していきます。
そのため、予期せぬ物が映り込んでいる事があるんです。
ホコリやゴミ、撮影時に着いたセル傷など。
先日は別の作品をチェック中、セル画を押さえている左手がそのまま映っていて驚きました。
二次元の世界から一気に現実世界に戻される瞬間です。
ここまで凄いのは初めて見ましたが、羽箒が映っていたなんて話も聞いた事があります(笑)。

話がそれました。
DVDの時代にもこれらのゴミは存在していて、当時もある程度の作業を行っていました。
しかし時代はハイビジョン。
技術は進歩し、高解像度で映像を観られる時代です。
見たくない物も見えてしまうのがハイビジョン。
ホコリどころかセル画に残った指紋がクッキリなんて事も・・・。
凄いやハイビジョン!
シクシク・・・。
これらの不要な情報を、元の絵を損なわないよう一枚一枚丁寧に処理していきます。
先に話題にしたスプライスもこの行程で行いますよ。

もちろん全てのゴミ消しができるわけではありません。
昔の作品は新規に作画を足せるわけではないので、できる事できない事があります。
限られた条件の中でいかに見やすい映像にするかが腕の見せ所。
お手元にあるBlu-rayで「おや?」と思ったシーンがあったら、それは何らかの理由で直せなかったのかもしれませんよ。
それを想像しちゃうのも職業病。

2013/07/15

リマスター日記3

今日は色味調整のお話。
ああ・・・こちらを先に書いておくべきでした。
フィルムをスキャンしてデータ化した後は色味の調整を行います。
作業行程はこちらの方が先だったのでした。

フィルムをスキャンしてデータ化したら全編を確認しながら色味を調整する行程になります。

「あれ?エイジ日焼けした?」
「なんかこの回のレイズナーの青がいつもより濃いよ!」

こんな事がないように全体の色味を調整するんです。
他にもカット内で一瞬だけ明るくなったり、暗くなったり。
これは連続したコマの中で1コマだけ明るさが違ったりすると起こります。

デジカメで連続撮影をしてみて下さい。
撮影したデータの中に、極端に色味が違う写真が撮れている事がありますよね。
あれと同じ事がセル作品にも起きます。
セル画をカメラで一枚一枚撮影するわけですから。
明暗の差が出ている原因は他にもあったりしますが概ねそんな感じです。

急に絵が明るくなったり暗くなったりでは観ていて気持ちが悪いですよね。
なのでカット内の色のバランスを調整して見やすくします。
これもコマ単位で調整するので途方も無い作業に・・・。
まあ私たちは指示だけ出してポスプロのオペレータさんに作業をしてもらうのですけど。

以上の行程を終えて次はスプライスやゴミ取などの画像を奇麗にしていく作業に進むわけです。
何でも完璧に直せればそりゃ嬉しいんですがね。
そうもいきません。
決められた条件の中で観やすいBlu-rayを作るのが腕の見せ所ですね。

無計画に書き始めてしまったのでちょっと後悔中のリマスター日記。
どこまで続くのか・・・。